2006-06-05日本生命日比谷ビル(日生劇場)
建設当初、南側にはF.W.ライトの帝国ホテルがありましたから、その関係を強く意識したことは想像に難くありませんが、その表現を丹念に見ると、一見クラシカルなデザインが「端正」という言葉だけでは説明しきない代物であることが分かります。
一方、内部は、壁にはガラスモザイクが、そして天井にアコヤ貝が張りまわされた、うねりのある空間の劇場が有名です。(残念ながら中に入る機会が無く実際に見たことはありません)
機能主義的デザインが全盛であった当時、整然とした外観とその外観と無関係に設えられた有機的デザインのホールの関係性は、多くの物議を醸したと伝えられています。しかし、一見クラシカルな外観も、従来の考え方を逆転させた表現であることを思えば、内部と外部のギャップに対する否定的な指摘そのものが、建築家の意図に対してまったく的を得ていなかかったと言えるでしょう。 劇場の有機的デザインは、私たちに日常と切り離された空間体験を与える役目を十分に果たしていることは間違いなく、一方、外観のデザインは、ライトの帝国ホテルや日比谷公園との関係を徹底的に配慮した結果として導かれた回答だったように感じます。既にライトの帝国ホテルの姿はなく、今となってはこれらが肩を並べた姿を目にできないことは残念ですが、だからこそ、この建物は日比谷公園の緑豊かな景観を一手に引き受けているように感じます。
posted at 23:28:05 on 2006-06-05
by qaz -
Category: architecture file
|
Comments
Add Comments