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2005-03-28

DNタワー21 〜歴史的建築物保存の事例 No.03〜

皇居側の全景

【DATA】
  • 住所:東京都千代田区有楽町1丁目
  • 敷地面積:7,438平方メートル
  • 延べ面積:97,966平方メートル
  • 容積率:1230%
  • 設計:清水建設、ケビン・ローチ ジョン・ディンケルー アンド アソシエイツ LCC
  • 竣工:1995年
 皇居のお濠に面して建つ第一生命館(1938年、設計:渡辺仁、松本与作)、そして第一生命館と同じ街区に建つ農林中央金庫(1933年、設計:渡辺仁)、1つの街区に建つ2つの歴史的建築物を一体の建物として再構築を図るという珍しい保存手法がとられた事例です。
 このケースでは、東京都から歴史的建造物として選定を受けるとともに、先に紹介した2つと同じく特定街区制度の適用を受けて、基準容積率1000%から1230%の容積率の割増を受けています。(基準容積率は平成元年の都市計画決定当時の値。現在は1300%)容積率の割増にあたっては、第一生命館1階の旧営業室の空間をリニューアルしたエントランスホールを屋内の公開空地に充てていて、これは丸の内 My Plazaでも採用されていますが、こちらが初の適用例ということです。


DNタワー21 第一生命館ファサード

DNタワー21 農林中央金庫ファサード

DNタワー21 公開空地となっているエントランスホール
 割増容積を利用して建てられた高層棟は、第一生命館のファサードよりも大きくセットバックしていますが、これは皇居側への景観に配慮したものでしょう。また、この高層棟は、外装材に韓国産の花崗岩を用いて、連続する柱型と平滑な壁面からなるシンプルなデザインとなっています。この既存の建物を意識したデザインは、先の2例が背後にガラス張りの塔を背負っているのとは大きく異なる点で、単に保存+新築ではなく、保存とともにそれらと一体の新しい建築をつくろうとする意図が感じられます。
 第一生命館は、第二次大戦後占領軍に接収され総司令部が置かれたことで有名な建築物で、現在でもマッカーサー元帥の執務室が残されています。外部には様式的な装飾はまったく施されず、徹底して抽象化されたデザイン。にもかかわらず様式主義的な建築の存在を感じさせるのは、左右対称性と全体のプロポーションによるもので、これは大阪証券取引所にも通ずるものです。
 一方、農林中央金庫は、イオニア式の列柱が特徴的な様式主義的デザインですが、こちらは柱頭と柱脚を一部保存した上で再構築する(デザインしなおす)という手法がとられており、改修後10年が経ちますが、その小奇麗な外観は、日本工業倶楽部会館と同様、テーマパークに建つ建物のように見えてしまいます。
 といっても、意匠的にこれだけ異なる2つの建築物を一つにまとめて再構成した手腕は見事なもので、外壁だけをハリボテのように残してビルを建替える表層的な手法が多かった当時、歴史的建築物の保存手法に対して一石を投じた功績は大きなものです。歴史的建築物に対してどこまで現在が介入するかという問題はヨーロッパでも未だに解決していない難しい問題で、今後、専門家による解決策の提示が待たれます。

ケビン・ローチ ジョン・ディンケルー アンド アソシエイツ LCC

第1講 建築の歴史と方法
3.合理主義と「様式」
2)ゼムパーとヴィオレ・ル・デュク

[prof.Fの建築史講義]
(ヨーロッパにおける古建築の修復の問題が述べられています)
posted at 00:00:00 on 2005-03-28 by qaz - Category: 三信ビル保存プロジェクト

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