カテゴリー別アーカイブ: 提案書

5. 三信ビルの情報

  • 設計:横河工務所(松井貴太郎)
  • 施工:大林組
  • 敷地面積:2,694.42平方メートル
  • 道路幅員:北西 約42m、北東 約9.6m、南東 約19m、南西 約21m
    (以上、ゼンリン住宅地図による)

3. 提案のコンセプト

三信ビルを中心に生み出す有楽町日比谷地区の賑わい

  • 道路の廃道によって設ける公園は、特定街区として必要な公開空地と一体的に整備して、三信ビルを仰ぎ見ることができる大きな広場をつくりだします。
  • この広場は、屋外に開放された地下広場を設けて地下鉄の駅に直結させることによって、有楽町日比谷地区の入口としての役割を持たせて、活発な人の流れを生み出します。
  • また、この広場は、有楽町日比谷地区のほぼ中央に位置し、日生劇場や宝塚劇場等の中核施設に隣接することから、賑わい創出の拠点となることが期待されます。

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日比谷公園とのつながりが生み出す新しい人の流れ

  • 地下広場からは、道路を横断することなく日比谷公園にアクセスできるようにすることで、日比谷公園との人の行き来を促します。
  • 有楽町日比谷地区は、距離的には銀座や丸の内の近くに位置しているにもかかわらず、高架や大通りが隔たりとなって、周辺地区からの人の流れが多くはありません。しかし、この広場が日比谷公園という都会のオアシスへの入口となることで、新しい人の流れを生み出すことにつながり、有楽町日比谷地区だけに留まらず、周辺地区も含めた活性化を促すことになるでしょう。

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使い続ける歴史的建築物の保存

  • 三信ビルの空間の豊かさを人々に伝えるためには、誰もが使える形で利用することが必要になります。そこで、地下1階から2階はこれまでと同じく商業施設として、1階の広場側は飲食系の店舗を集めてテラス席を設けることで、三信ビルと広場が一体となって賑わいを創出できるようにします。
  • 一方、3階から8階は小さな空間として利用できる用途が適しており、交通利便性の高さや恵まれた周辺環境から、SOHOやホテルなどが想定されます。SOHOであれば若いクリエイターや企業家の集う場所として、ホテルであれば観光客の拠点として、これまでとは異なる人々が集まることによる地区の活性化が期待できます。
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サンクンガーデンのイメージ
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緑道のイメージ

2. 三信ビル保存の可能性とその方法

歴史的建築物の保存・活用

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    新風館(旧京都中央電話局を保存し商業施設として活用)

    現代の都市において、歴史的な建築物は、その時代が持っていた豊かな文化や空気を後世に伝える役割を果たします。これは、新しい建物では果たすことができない重要な役割であり、歴史的建築物を残す大きな意義と言えるでしょう。

  • 三信ビルは、最先端のオフィスとして利用することは難しいかもしれませんが、それを補って余りある、時代の積み重ねと空間の豊かさを持っています。それらを活かしながら、用途を変更して使い続けることができることは、京都の新風館や横浜赤レンガ倉庫等、多くの先例が示すとおりです。

特定街区による保存への支援

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    一般的に歴史的建築物の保存・活用には多くの費用がかかります。これに対して行政からの支援制度はありますが、その内容は薄く、有効に活用されているとは言えません。

  • そこで、三信ビルの保存を隣接する日比谷三井ビルの建替えと一体の事業とし、併せて特定街区制度を適用することを提案します。
  • 特定街区に指定されると容積率が割り増しされ、通常より大規模な建物を建てられるようになります。これは事業者の収益性向上につながることから、間接的に保存に対する支援策となります。
  • また、特定街区制度では容積を移転できるため、三信ビルの余剰容積と割り増し容積を日比谷三井ビルの建替えに移転することで、三信ビルを元のイメージを壊すことなく使い続けることができるのも大きな利点です。

官民一体で形成する都市景観

  • 歴史的建築物の存在は、良好な都市景観の形成に重要な役割を担っています。そのため、保存に伴う負担を所有者に強いるだけではなく、行政の極的な参画も必要です。
  • そこで、三信ビルと日比谷三井ビルに挟まれた区道を廃道して、公園に用途を変更。この公園も特定街区に含めて、千代田区が事業主体として参画することを提案します。
  • この公園の容積も日比谷三井ビルの建替えに移転することによって、三信ビル保存に対する支援をより厚いものとできます。

1. 三信ビルについて

三信ビルの特色

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    三信ビルは、変化がめまぐるしい東京において昭和初期の空気を伝える希少な建物であるとともに、日比谷公会堂などと共に日比谷の景観形成を担う重要な建物でもあります。

  • その外観は、様式主義建築に典型的な三層構成の中にアールデコや表現主義等の要素を取り込んだ、当時の建物の中でも特に優れたデザインです。また、内部は1階の2層吹抜けのアーケードが見所で、扁平したアーチが連なる空間に豊かな装飾が施され、竣工以来75年の間、訪れる人々を魅了してきました。

三信ビル周辺の状況

  • 日比谷は交通利便性が高く、また銀座や丸の内にも近い恵まれた立地環境でありながら、高架や大通りが連続性を遮っていて、周辺地区からの人の流れが多いとはいえません。
  • 三信ビルの南東は、千代田区が「有楽町日比谷地区」として地区計画を定め、良好な都市景観の形成と活力あるまちづくりを目指して、歩行者ネットワークの形成が図られています。
  • 一方、北東には日比谷公園がありますが、日比谷通りが歩行者の流れを寸断しており、せっかくの緑豊かな環境を活かしきれていません。

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