横浜港大さん橋国際旅客ターミナル

屋上庭園

【DATA】

  • 所在地:横浜市中区海岸通
  • 設計:FOA(Foreign Office Architects)
  • 施工:清水建設、鹿島建設、戸田建設他
  • 竣工:2002年

 横浜の大さん橋埠頭につくられた新しい旅客ターミナル。それにしても、この建物は私達が空間に対して持っている既成概念を完全に壊してくれます。
 ここには通常の建築物にある空間のヒエラルキーも存在しなければ、床・壁・天井という建築を構成する明快なエレメントの区別もほとんどありません。

出入国ロビー
遠景

 ウッドデッキと芝が張り巡らされた屋上庭園は、うねるような曲面を描きながら埠頭の先まで延々続き、展望台のような特別な仕掛けがあるわけでもなく、人工的な地形の微細な変化があるのみです。この屋上庭園と2階のメインフロアは、曲面を描く屋根と一体化した緩やかなスロープで結ばれることで屋内外・異なるフロア間の境界があいまいにされ、シームレスに連続しています。ここで提示される空間構成は、言葉にすると複雑そうですが、ちょっとした丘を登ったり、洞窟にもぐる感じで、その行き来は想像以上に自然にできます。
 一方でそれぞれの空間は、空間のつながり方のあいまいさとは対照的です。屋上庭園は普通に屋外にいる時よりも「外」にいることを強く感じさせ、出入国ロビーの平べったいトンネルのような空間は「内」にいる感覚をより強く感じさせるという、とてもメリハリの利いた空間となっています。
 もう一つ特徴的なのは使われている素材の少なさとディテールレスとも言える素材同士のぶつかり合いで、壁とも天井とも言いがたい鋼板にいたっては溶接の継ぎ目が剥き出しにされており、建築というよりも土木構築物を見ているようです。これらが建築的エレメントの存在感の希薄さとあいまって、空間が極度に抽象化されているように感じられます。
 建物の全体を通じて、建築というよりも新しい「地形」が突然現れたといった感覚を覚えました。この建物は建築・土木・ランドスケープといった分類をものともしない力強さを持っているようです。