Kazuya Urakawa について

写真家/一級建築士。札幌出身、東京在住。大阪市立大学建築学科で建築史を専攻し、卒業後は建築設計とまちづくりに従事。都市と建築の魅力を広く伝えたいとの思いから、2002年にCittà Materiaを立ち上げ、2005年から本格的に写真に取り組み始める。写真製作のテーマは「都市と建築」「場所の記憶」「都市の一回性」。

7 Factors of Cities まえがき

私たちは人口、交通、防災などの様々な課題を解決しながら、土木、建築、環境、情報など、多種多様な技術の集大成として都市を築いてきました。また、都市は技術の集大成というだけでなく文化が集積される場でもあって、そのものが視覚芸術作品になる可能性も持っています。ただし、作家の意思・思想をもとにつくられる他の芸術作品とは異なり、都市は長い時間をかけ、不特定多数の意思の積み重ねによってつくられるものですし、そのプロセスは止まることなく継続し完成を迎えることはありません。

一方、都市の日々の変化に目を移すと、都市をかたちづくるすべての要素は各々が独自のスピードとシークエンスで動いていて、それらの調和、衝突、交錯などがいつも異なる様相を生み出します。したがって、私たちは同じ場所を何度訪れたとしても、まったく同じ瞬間に遭遇することはありません。人々が都市に魅了されて止まないのは、この変化の継続性にあると思いますし、私が都市をテーマに写真を撮り続ける理由も同じくここにあります。ただ、この変化の継続性は、エキサイティングな体験を私たちにもたらす一方で、優れた都市景観を一瞬で消し去ってしまう可能性も持った、いわば諸刃の剣のようなものです。
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