ジャン・プルーヴェ展

[神奈川県立近代美術館]
20世紀デザインの異才 ジャン・プルーヴェ 「ものつくり」から建築家=エンジニアへ

from Corbusier to Prouve'

 『「ものづくり」から建築家=エンジニアへ』と題された展覧会は、プルーヴェの自信に満ちた表情と1964年1月にル・コルビュジェ(Le Corbusier)がプルーヴェに宛てた一通の手紙からはじまった。コルビュジェは、この手紙の中で「ナンシー王朝の創造的な血を受け継いだ」「時代精神を表現する建築家=エンジニア」とプルーヴェを褒め称えている。

プルーヴェの肖像

 プルーヴェは、建築家(architecte)でもデザイナー(designer)でもなく、「建設家(constructeur)」と自らを位置付け、設計から施工までの一連の過程を等価なプロセスと考えていた。家具から建築まで幅広く手掛けているが、そのいずれにおいても、工業化による生産性の向上、プレファブリケーション、新素材・新技術の探求等の「技術からの思考」が貫かれている。しかしながら、その「技術からの思考」によって生み出される彼の作品は優雅さを失ってはいない。
 彼の作品を実物、模型、スケッチ、CGなど多面的に見せてくれる本展覧会は、プルーヴェがエンジニアだけにはとどまらない、すばらしいデザイナーであり建築家であったことを雄弁に物語っている。