Kazuya Urakawa について

写真家/一級建築士。札幌出身、東京在住。大阪市立大学建築学科で建築史を専攻し、卒業後は建築設計とまちづくりに従事。都市と建築の魅力を広く伝えたいとの思いから、2002年にCittà Materiaを立ち上げ、2005年から本格的に写真に取り組み始める。写真製作のテーマは「都市と建築」「場所の記憶」「都市の一回性」。

吉本会館

吉本会館 YES・NANBAから見たファサード

【DATA】

  • 所在地:大阪市中央区難波千日前
  • 設計:村野・森建築事務所
  • 施工:大成建設
  • 竣工:1987年(昭和62年)

 大阪を代表する繁華街である難波の東側、千日前に位置する笑いの殿堂「吉本興業」の大衆劇場。村野藤吾氏がお亡くなりになった後に竣工したためか、作品集で大きく紹介されていないものの、その存在はなかなか侮ません。ヴォリューム感のある銅版噴きの大屋根、その大屋根をグルリと取り囲む壁。その壁は、1つの柱間を「1単位」として、花をモチーフにした高窓、その下に大きな開口と両脇に縦長のバルコニーが配され、これが繰り返されるデザイン。イタリアの建築をご存知の方なら、この外観が非常に大胆な建築版「本歌取り」であることにお気付きになると思います。

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旧千住郵便局電話分室

旧千住郵便局電話分室 外観

【DATA】

  • 所在地:東京都足立区千住中居町
  • 設計:山田 守
  • 施工:大倉土木
  • 竣工:1929年(昭和4年)

日本武道館、聖橋、京都タワー等を手がけた山田守による郵便局舎の建物。当初は1階を事務室、2階を交換機室として使っていて、その後2階も事務室として使われていたといいますが、残念ながら現在は閉鎖され使われていません。
外観は、スクラッチタイルに覆われながら角が丸められた曲線を基調としたデザインで、洗練されていながらインターナショナルスタイルほどのストイックな印象ではなく、ユーモラスな雰囲気を放っています。

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宝塚カトリック教会

宝塚カトリック教会ファサード

【DATA】

  • 所在地:兵庫県宝塚市南口
  • 設計:村野・森建築事務所
  • 施工:聖和建設
  • 竣工:1966年

通称 「なめくじ教会」。うねる屋根、地面から生えてきたような荒々しい壁、屋根から連続して延びる塔。誰が初めにそう読んだのかは定かではありませんが、見事なネーミングです。

屋根から連続して延びる塔

このなんとも形容しがたい独特の形状には、外国雑誌の広告で目にしたハイヒールのシルエットにヒントを得たという説があり、この教会の外観を連想させるスケッチも残されています。
ただ、そのスケッチには「小劇場の為メ」というメモが添えられており、ハイヒールのエピソードの真偽は定かではありませんが、村野藤吾の創作過程においては、同時に進むプロジェクト間でアイデアが行き来することは珍しくなかったと言われているので、「小劇場の為メ」のアイデアがこの教会に活かされたのでしょう。

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