東京国際フォーラム

東京国際フォーラム ガラス棟

【DATA】

  • 所在地:東京都千代田区丸の内3
  • 設計:ラファエル・ヴィニオリ
  • 施工:ホール棟 大成他JV、ガラス棟 大林他JV
  • 竣工:1997年

「東京都シティホール建設計画基本構想」に基づき都庁の新宿移転と併せて計画されたイベント・コンベンション・展示等の複合施設。設計者の選定にあたっては、日本で初めてUIA(国際建築家連合)基準に基づく国際公開コンペが実施され、50カ国・395案の中からアメリカの建築家 ラファエル・ヴィニオリの案が選定されました。ヴィニオリの案は、約2.7haという広大な敷地と複雑な機能的要求に対して、非常に明快な空間構成で応えています。

東京国際フォーラム 東側外観

東京国際フォーラム オープンスペース

敷地東側(JR高架側)に木の葉型平面を持つ高さ60mの吹抜け空間を持つガラス棟を配し、これに向かい合って大小4つのホールを北から大きい順番に並べて配置。ガラス棟とホール棟の間を南北に貫通するオープンスペースとする一方で、開口の少ない壁面を敷地の東側と西側に対峙させ、オープンスペースを鉄道やオフィス街の喧騒と明確に区分するというものです。

浮遊感のある非常階段

このオープンスペースは、ガラス棟とホール棟に規定された中に浮遊感のある非常階段、ガラス張りの店舗等のエレメントが配されることで、平面的にも立体的にも変化に富んだ空間となっており、規則的に並べられた60本の植栽と効果的に対比されています。また、東西をあえて明確に限定し、南北に強い方向性を持たせたことは、賑わいを生み出すことに成功している要因かもしれません。

船底か恐竜の骨を思わせる屋根の構造体

メインフロア

ガラス棟は船底か恐竜の骨を思わせる屋根の構造体が印象的な非常にダイナミックな空間。メインフロアを地下1階として、1階から地下2階までを視覚的につながるよう構成していることに加えて、木の葉型の輪郭に沿って最上階まで上っていくスロープ、空中歩廊等、人の動きを視覚化する仕掛けが随所に設けられており、空間的な見所が尽きません。
竣工直後はバブルの遺産等と揶揄されましたが、オープンスペースの心地よさは特筆すべきもので、9年経った現在でも昼夜を問わず賑わいが絶えません。オープンして数年で来場者が激減する大規模開発が多く見られることを思えば、ここは数少ない成功例といえるでしょう。