豊平館

豊平館外観
Houheikan , Nakajima Park , Sapporo , Hokkaido , Japan

豊平館 ペディメントの装飾
豊平館 ポルティコのコリント様式の柱頭
豊平館内部
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【DATA】

  • 住所:札幌市中央区中島公園1-20
  • 設計:安達善幸(開拓使工業局)
  • 施工:大岡助右衛門
  • 竣工:1880年

 この建物は、明治13年、北海道開拓使直属の洋風ホテルとして、現在の中央区北1条西1丁目、大通り公園に面して建設されたものです。 紆余曲折を経て、大正11年に札幌市の所有となった後、昭和33年(1955年)に現在の場所に移築。市営総合結婚式場として現在まで利用されています。また、昭和39年には国の重要文化財に指定され、昭和57年から昭和61年にかけては修復工事が行われています。
 外観は、真っ白に塗られた下見板張りの外壁と薄紫色で塗られた装飾との対比が印象的で、このラベンダーを思わせる色は創立当初の様子を復元したもので、宝石のラピス・ラズリ(瑠璃)から作られた色とのことです。細部のデザインは、玄関部のポーチの柱頭に見られるコリント様式の植物文様の装飾(アカンサス)等を見ると、一見、古典主義的な装飾が施されていて、アメリカの影響が強いと言われる北海道の近代建築の中では珍しいの例のように思われます。
 とは言っても、民間の棟梁達が日本の伝統的な技術を用いながら、西洋の建築を見よう見まねで施工していた時代。柱と梁の取合いや柱頭の装飾から無造作に取り合う持送り等、西洋の建築では見られない和風の技法と洋風の装飾が合わさった不思議なディテールを見ることができます。また、正面のペディメントの頂部に掲げられた赤い星は、旧北海道庁や時計台にも見られるもので、北海道の公共的な建築に特徴的なモチーフです。
 一方、内部はそんなに派手な印象は受けませんが、開口部回りなどに装飾が施された壮麗なインテリア。中でも建設当初のものというシャンデリアは大きな見所です。また、そのシャンデリアを取り付けているメダリオンは部屋ごとに異なるデザインが施されいますが、花鳥等の和風のモチーフをあしらった独特なもので、ここにも和洋折衷の当時の建築デザインの片鱗を垣間見ることができます。
 札幌の観光地としてあまり大きく紹介される建物ではありませんが、札幌に訪れた際にはぜひ見ておきたい建物の一つです。

豊平館」への2件のフィードバック

  1. とても写真が美しくていつも感心してしまいます!
    私も以前、豊平館を見学しました!
    懐かしく感じました。
    好きな建物の一つです。

  2. モモコットさん、こんばんは。
    豊平館、いいですよね。
    小さい頃に何度も見ていたのですが、
    先日改めて見て良さを再確認しました。
    使用してない部屋であれば、
    中を自由に見学できるところもいいですよね。

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