村野建築研究所心斎橋事務所

村野建築研究所心斎橋事務所 エントランス廻り

【DATA 】

  • 所在地:大阪市中央区心斎橋
  • 設計:村野・森建築事務所
  • 施工:奥村組
  • 竣工:1984年

 代表作であるそごう百貨店心斎橋店の北側に建っていた村野藤吾氏の事務所の分室です。
 シンプルで小さな建物なので何気なく通り過ぎてしまいそうになりますが、白色の鋼板にディテールレスな開口部を絶妙なバランスで配置したファサードが精悍な表情を見せていました。また、曲線の庇を持つ入口のキャノピーは、その中に雨樋や自動扉等が実に見事に納められ、小さな要素の中に様々なアイデアが凝縮されたものでした。

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住友銀行船場支店

住友銀行船場支店 ファサード

【DATA】

  • 所在地:大阪市中央区久太郎町
  • 設計:住友工作部
  • 施工:大林組
  • 竣工:1930年

 近年、近代建築が次々と姿を消している大阪船場地区、堺筋に面して建っていた銀行の支店の建物です。高さと幅の異なる尖塔(先尖り)アーチを3対で1組にし、2組配した左右非対称なファサードが特徴的で、この時代の銀行建築としては大変珍しいものです。
 設計は北浜の住友銀行本店大阪証券取引所等を手がけた長谷部鋭吉と竹腰健三を擁した住友工作部。工作部解散後に開設された長谷部竹腰建築事務所は、この支店の最上階に事務所を構えていたと言います。

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大阪証券取引所

建替え工事中

【DATA】

  • 所在地:大阪市中央区北浜
  • 設計:長谷部竹腰建築事務所
  • 施工:大林組
  • 竣工:1935年

 200年以上の歴史を誇る大阪の金融街 北浜、堺筋と土佐堀通りの交差点に建っていた証券取引所。楕円形のエントランス部分が地区のランドマークとして親しまれていました。設計は、住友銀行本店建設のために置かれていた建築家集団 住友工作部の中心人物だった長谷部鋭吉と竹腰健三によるもので、長谷部は意匠の名手として他にも多くの建築を残しています。

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綿業会館

綿業会館ファサード見上げ

【DATA】

  • 所在地:大阪市中央区備後町
  • 設計:渡辺節建築事務所
  • 施工:清水組
  • 竣工:1931年

 東洋紡の専務取締役だった岡恒夫氏の遺贈金を基に綿業関係者のためのクラブとしてつくられた建物で、現在でも当時の用途のまま大切に使われています。設計は、大阪ビルヂング旧館等を手掛けた戦前の大阪を代表する建築家 渡辺節によるもので、独立直前の村野藤吾がヘッドドラフトマンとして設計に携わったことが知られています。

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大阪中央郵便局

大阪中央郵便局ファサード

【DATA】

  • 所在地:大阪市北区梅田町
  • 設計:逓信省営繕課(吉田 鉄郎)
  • 施工:大林組
  • 竣工:1939年

 旧逓信省営繕課の建築家 吉田鉄郎は逓信省の多くの建築を手掛けましたが、なかでも東京と大阪の二つの中央郵便局によって高い評価を得ました。そのどちらも現役で活躍しています。
 東京中央郵便局が緩やかなカーブを描く不整形な敷地に沿った流れるようなファサードに白色のタイル張りであるのに対して、大阪は比較的整形に近い敷地の二つの道路に面して直線を基調としたファサードに褐色がかったグレーのタイル張り。同じ設計者、用途も同じだというのに形態、材料ともに対照的です。

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大阪新歌舞伎座

夜景

【DATA】

  • 所在地:大阪市中央区難波
  • 設計:村野・森建築事務所
  • 施工:大林組
  • 竣工:1958年

 キタとミナミをつなぐ大阪のメインストリート、御堂筋の南端に建つ、寄棟の大屋根と連続する唐破風の庇が特徴的な大衆劇場です。大屋根と唐破風を組合わせたデザインは、昭和初期の銭湯などにも見ることができますが、唐破風が繰返し用いられているためか、一見してそれらとは異なる印象を受けます。

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そごう百貨店心斎橋店

そごう百貨店

【DATA】

  • 所在地:大阪市中央区心斎橋
  • 設計:村野建築事務所
  • 施工:大倉土木(現 大成建設)
  • 竣工:1935

 先日、会社更生法を申請したそごう百貨店の本店の建物ですが、新本店建設のために取り壊されてしまったため、この姿を見ることはできません。
 村野藤吾は指名設計競技によって設計者として選ばれ、これを期に渡辺節の事務所から独立しています。社運をかけた大事業を独立間もない若い建築家に依頼することは、クライアントにとって大きな賭けだったと思われますが、「そごうの命運の6割は建物にかかっている」と建築家に対して告げたエピソードがその決断の重大さと建築家に対する信頼を物語っています。

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吉田バー

店内の様子

 1931年創業、70年以上もの長い間、大阪ミナミのまちを見つづけている老舗のオーセンティックバーです。
 創業当時からずっと使われている落ち着きのあるインテリアと「バー」という言葉から連想するイメージとは正反対の明るい照明は、リビングにいるような心地良さを感じさせますが、少し背筋を伸ばしたくなるような心地よい緊張感が漂っています。
 カウンター席とテーブル席があり、カウンター席の縁に設えられた革張りのクッションの心地よさが病み付きになります。また、奥のテーブル席は、壁一面に並ぶミニボトルのコレクションが目を楽しませてくれます。
 私は生姜がきいたモスコミュールが一番好きですが、お酒の強い人には 70周年を記念してつくられたカクテル「ザ・セブンティ」もおすすめです。

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